| 利き酒について |
「利き酒師」という名前を聞くと、「利き酒できるの?」とよく聞かれます。ここでいう「利き酒」とはワインのソムリエが大会などで、「これは○○地区の××年の、ぶどうは△△のワインだ」とかいっているそれのことでしょう。しかし、それは世界レベルのものなので、ソムリエが皆そんなことができるかといえばそんなことはないでしょう。 「ソムリエ」はもとより「ワインアドバイザー(ソムリエはレストランなどでの「接客作法」が学科に含まれていますが、それがない酒業界のための資格)」には、利き酒をして、葡萄の品種や産地や熟成度をいいあてる試験があるそうです。 しかし、日本酒のアドバイザーとしての資格である「利き酒師」の試験には四つの酒類を利く試験しかありません。四つとは「薫酒」(吟醸酒のような香りの高い酒)「爽酒」(生酒のような香りが低くさっぱりとした酒)「醇酒」(純米酒のような米の香りの強い酒)「熟酒」(熟成酒のようなさまざまな熟成香のついた味も香りも強い酒)の四つです。 そのそれぞれの酒の特徴の有る酒が三つ出て、それを言い当てればいいのです。 またワインは外形を見ただけで中身の良し悪しが判断できますが、日本酒はそういうわけではありません。なぜ違うかと言えば、ワインと日本酒の造り方の違いのためでしょう。 ワインの特徴は、原料となる葡萄の出来不出来に左右される、ということです。それはワインが葡萄に含まれる糖分を発酵させるという、単発酵とよばれる単純な製造法によるものだからです。 ワインはその場所でとれた葡萄を必ず用いますから、地域−地区−村というように、おいしい葡萄のとれるところは、細かくなればなるほど保証され、それが広がるほど、有名でない葡萄がまざるということで、味が落ちるとされています。 それと、その年々の天候によって葡萄の出来不出来が異なります。 よって、採れた地域と年によって早見表が存在します。 製造元(シャトー)の技術と言うのは有名な地域の蔵はどこも技術が行きつくところまで行ってますのでほとんど問題になりません。 それプラス熟成された年数により味の丸みや香りが違ってきます。 一方日本酒は地酒といっても、その地域でとれたお米を必ずしも使っているわけでは有りません。最近は「原産地呼称制度」というものが出来てきて、「これはこの地域でとれたお米を使用しております」とうたっているものも出てきていますが、もともとはそういうものでもありませんでした。 なぜなら日本酒の原料となる「酒造好適米」として有名な山田錦は兵庫県が一番おいしいとされ、全国の蔵がそのお米を奪い合って各地域の地酒を造っていると言われています。 五百万石の有名産地は新潟ですが、やはり新潟の蔵でも品評会用などのお酒は山田錦でつくるといわれ、山田錦を使えなくなる原産地呼称酒に対しては批判がある、と聞きます。 そして、原料のお米の良し悪しもさることながら、製造法が大変複雑で、酵素によりお米のでんぷんから糖に変わる糖化行程と、糖分が酵母によってアルコールに変わる発酵行程が同時に進む並行複発酵により製造されます。 よってそのお酒の良し悪しは、蔵がお金を出してよいお米を仕入れられるか、とその蔵(特に杜氏さん)の技術が高いかによるところが大きいのです。 それでも、良い米がよい杜氏にかかれば必ず旨い酒ができるか?といえばそうではなく、その年々で、よくできた年と失敗した年とあるそうです。それはそのお米の水分量や天候、温度・湿度によって発酵温度やお米の加え具合を調整するため、長年の経験や勘が必要で、それを持ってしても失敗することがあるくらい難しい作りだからです。 ある蔵では、今年は吟醸が失敗したから売り出すのをやめて本醸造に混ぜてしまったため、その年の本醸造は大変評価が高かったなどと言う話もあるくらいです。 よって日本酒では蔵の名前やブランド名で良し悪しをだいたい判断していますが、おいしいかどうかは毎年のつくりのはじめに飲んで見なければわからない、ということになります。(とはいえ、今年のこれはうまいといえるほどの舌をもった利き酒師がどれだけいることか…) と、いうわけで、最初の話に戻りますが、「利き酒師」といっても、最低限「○○(というブランド)は辛口でおいしいですよ〜」とか「吟醸とかは魚のムニエルと合いますよ〜」とか、飲んでみて、「これは生酒ですね〜」くらい言えればOKと勘弁してください。(もちろん、もっと勉強されてよくわかる、すばらしい利き酒師さんはたくさんいらっしゃいますが) ちなみにこの間、日本酒に関してはまったくの素人の外人さんの友達と「八千代」さんへいってきて、お酒を数種類一合ずつと、料理を数品頼んで、「この酒とこの料理は合うが、この料理は合わない」てなことをやって、基本的なお酒の違いと料理の相性を体験させたところ大変喜んでくれ、日本酒の楽しみがわかったといってくれました。 いつも成功するわけではないでしょうが、そんな日本酒の楽しみ方を伝えられればいいなぁ、と思っています。 以前大谷屋で「日本酒と料理の相性を楽しむ会」や「ワインと料理の相性を楽しむ会」というのを定期的に開いていましたが、参加者集めが難しく、HPが開くまでお流れとなっていました。そこでは料理と日本酒のベストマッチの組み合わせを数品楽しんでいただこうという趣向でしたが、また参加希望者を募って開きたいと思っています。 2000/12/6 |
